60代のダイエットレシピは、「食べる量を減らす」より「定食スタイルで必要な栄養をそろえる」ことが続けるコツです。
管理栄養士の前田量子さんは、おなかいっぱい食べながら半年でマイナス20kgを達成しました。この記事では、前田さんが雑誌『素敵なあの人』のWebサイトで紹介した「5つの痩せ栄養素」と6つの定食レシピを中心に、60代女性が無理なく続けやすい食事メニューのアイデアをまとめます。
60代ダイエットレシピで注目の「前田式ダイエット」とは?
結論からお伝えすると、前田式ダイエットは「抜かない・我慢しない・栄養で代謝を守る」食べ方です。
60代向けの雑誌『素敵なあの人』の公式Webサイトで、2025年12月30日に紹介されました。教えてくれたのは、管理栄養士の前田量子さんです。
前田さんは東京理科大学を卒業後、織田栄養専門学校で栄養学を学び、その後料理も学ばれた方です。「前田量子料理教室」を主宰し、雑誌や企業へのレシピ提供、著書・監修本も多く手がけています。
きっかけは、とても人間らしいものでした。栄養指導をする立場なのに、自分が太っていては説得力がない。そう一念発起したそうです。
そこで「どうせ痩せるなら、自分の栄養学の知識を生かしたい」と考え、食事を変えるだけで健康的に痩せる方法を組み立てました。結果は半年でマイナス20kg。しかも無理のないやり方なので、その後のリバウンドもないと紹介されています。
私がこの話でいちばん心をつかまれたのは、「プロでも太るし、悩む」という正直さなんですよね。特別な人の特別な方法ではなく、栄養の基本を味方につけた“ふつうのごはん”の延長だという点に、同世代として大きな安心を感じました。
60代はなぜ太りやすい?食事を「減らすだけ」が危ない理由
60代が太りやすいのは、筋肉の減少で基礎代謝が落ち、さらに女性ホルモンのエストロゲンが減るからです。
複数の専門メディアでも、加齢によって筋肉量が減ると、使われずに余ったエネルギーが脂肪として残りやすくなると解説されています。閉経後にエストロゲンが減ると、脂肪の量を適正に保つ働きが弱まることも知られています。
数字で見ると、これは決して他人事ではありません。介護用品を扱うフランスベッドのコラムでは、厚生労働省「国民健康・栄養調査」をもとに、2019年の肥満率は60歳代女性で28.1%、70歳以上で26.4%と紹介されています。
つまり、同世代の女性の約4人に1人が肥満に当てはまる計算です。「最近ちょっと…」と感じているのは、あなただけではないんですよ。
ただし、ここで焦って「とにかく食べない」に走るのは逆効果です。食事量を減らしすぎると、脂肪と一緒に筋肉まで落ちてしまいます。
同じコラムでは、筋肉が減った状態で太る「サルコペニア肥満」についても触れられていました。転倒や骨折、日常動作の低下につながりやすい状態です。
夕食を抜くダイエットを検証した記事でも、短期的には体重が落ちても、筋肉が分解されて代謝が下がり、停滞やリバウンドを招きやすいと指摘されています。
私たち世代のダイエットは、「体重計の数字」より「筋肉と骨を守りながら脂肪を減らす」ことがゴール。だからこそ、“食べて痩せる”前田式の考え方がぴったり合うのだと私は考えています。
60代のダイエットレシピに欠かせない「5つの痩せ栄養素」とは?
前田さんが毎食意識したいと話すのが、次の5つの「痩せ栄養素」です。
- たんぱく質:代謝を支える筋肉の材料
- カルシウム:ダイエット中こそ強化したい骨のために
- ビタミンA・C・E:抗酸化作用で体のサビを防ぐ
- 鉄:貧血を防ぎ、体のすみずみに酸素を届ける
- オメガ脂肪酸:ダイエットをサポートしつつ脳を守る
前田さんによると、食べるものによって体の中だけでなく見た目も変わってくるとのこと。代謝を落とさず、老け見えも防ぎながら痩せるために選んだ栄養素なのだそうです。
ここで注目したいのは、5つのうち「カロリーを減らす」ための栄養素がひとつもないことです。どれも“足りないと困るもの”を守る栄養素なんですよね。
たんぱく質の量については、別の専門記事で目安が紹介されていました。厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに、成人女性は体重1kgあたり1.0gが目安。体重50kgなら1日約50gです。
肉・魚・卵・大豆製品・乳製品を、毎食どれか1つは入れる。まずはそれくらいの気軽さで始めてみましょう!
献立に迷わない!定食スタイルで考える3つの法則
前田さんが提案するのは、痩せ献立を「定食のように」組み立てる方法です。
栄養バランスとカロリーを毎回ゼロから考えるのは、正直しんどいですよね。そこで頭に入れておきたいのが、前田さんの3つの法則です。
1. 必要な栄養をとりながらカロリーを抑えられるよう、献立を定食の形で考える
2. その中で、たんぱく質と炭水化物のとり方のルールを守る
3. 間食も上手に選んで、栄養価の高い「補食」にする
定食の形が頭に入っていると、外食でも何をどのくらい食べるか迷わずに済むそうです。
ダイエットは何より続けることが大切。法則を知っておけば献立選びで困らなくなり、挫折のリスクを避けられる、と前田さんは話しています。
間食を禁止しないのも、うれしいポイントです。上手に選べばストレス発散にもなるので、ぜひ取り入れてほしいとのこと。
別の記事でも、間食の目安は1日200kcal程度とされていました。ナッツやヨーグルト、果物など、栄養のあるおやつを選ぶのがおすすめです。
健康教室でお話をうかがっていると、「何を作ればいいか考えるのが面倒で、結局パンだけで済ませちゃう」という声をよく聞きます。“定食”という型は、そんな迷いを減らしてくれる心強い道しるべだと感じます。
前田量子さんの60代向けダイエットレシピ6選
ここからは、前田さんが紹介した朝・昼・晩の6つの定食レシピを、それぞれのねらいと一緒に見ていきます。
| 食事 | メニュー | 主なねらい |
|—|—|—|
| 朝食① | ほうれん草オムレツのワンプレート | 卵のたんぱく質+食物繊維+ビタミン |
| 昼食② | レンチンチンジャオロースー | ビタミンB群と鉄で燃える体に |
| 夕食③ | 鮭とトマトとエリンギのパン粉焼き定食 | 抗酸化成分と基礎代謝アップ |
| 朝食④ | 納豆+温玉のたんぱく質朝食 | きのこの食物繊維とたっぷりたんぱく質 |
| 昼食⑤ | ささみと小松菜とブロッコリーのカレーあん定食 | 筋肉強化にぴったり |
| 夕食⑥ | オクラとめかぶの爆弾丼定食 | 血糖値の急上昇を防ぐ |
① ほうれん草オムレツでワンプレート朝食
完全栄養食ともいわれる卵に、食物繊維が豊富なほうれん草をプラスした朝ごはんです。
トマト・かぶ・にんじんのスープでビタミンも補給。添えたヨーグルトは、朝に食べても、おやつにまわしてもOKとされています。この「おやつにまわしてもいい」という柔軟さが、続けやすさの秘密ですよね。
② レンチンチンジャオロースーのランチ
豚肉に多いビタミンB群は、エネルギーを燃やすときに欠かせない栄養素です。
さらに鉄を含むチンゲン菜を合わせることで、全身に酸素を巡らせ、代謝を後押しするという組み立て。電子レンジで作れるので、ひとり分のお昼にも気軽に取り入れられます。
③ 鮭とトマトとエリンギのパン粉焼き晩ご飯定食
これもレンジで作れる一品です。鮭には抗酸化作用の高いアスタキサンチンが豊富に含まれています。
定食には菜の花も組み合わされていて、前田さんによると、肝臓の働きを助けることで基礎代謝アップにつながるとのこと。旬の青菜を添えるだけで、食卓がぐっと華やぎますね。
④ 納豆+温玉のたっぷりたんぱく質朝食
卵と納豆のダブル使いで、たんぱく質は万全です。
ポイントはきのこ。きのこに多い水溶性食物繊維が腸内細菌のエサになって短鎖脂肪酸が作られ、脂肪細胞に脂肪がたまるのを抑える手助けになると解説されています。
⑤ ささみと小松菜とブロッコリーのカレーあんランチ定食
高たんぱくなささみに、緑の野菜をたっぷり合わせた筋肉強化向けのメニューです。
小松菜はカルシウムや鉄、ブロッコリーはビタミンCを含む野菜として知られています。カレーの香りで薄味でも満足感が出やすいのは、減塩を意識したい世代にもうれしい工夫だと私は感じました。
⑥ オクラとめかぶの爆弾丼の晩ご飯定食
ねばねば食材のオクラとめかぶを使い、血糖値の急上昇を防いで痩せやすい体に導くという丼です。
丼ものはダイエットの敵と思われがちですが、食物繊維の多い具材を組み合わせればちゃんと味方になる。そんな発想の転換を教えてくれる一品です。
60代のダイエットレシピを無理なく続ける食べ方のコツ
レシピと同じくらい大切なのが、食べ方の習慣です。他の専門記事でも、共通して次のようなポイントが挙げられていました。
- 1日3食、なるべく決まった時間に食べる(抜くと次の食事でドカ食いしやすい)
- 1口30回くらいを目安によく噛む(満腹感を得やすく、食べすぎを防ぐ)
- 夕食はできるだけ早めに済ませる
- 水分は1日1.5リットル程度を目安に、こまめに水や麦茶で
- 7時間以上の睡眠を目指す(睡眠不足は食欲ホルモンを乱す)
睡眠不足になると、食欲を抑えるホルモン「レプチン」が減り、食欲を高める「グレリン」が増えるとされています。夜ふかしの翌日に甘いものが欲しくなるのは、意志が弱いからではないんですよ。
ここで私から、ひとつ提案させてください。前田さんの6つのレシピは、「朝・昼・晩×2セット」でちょうど2日分になっています。
1日目は①②③、2日目は④⑤⑥。この2日を1つの“ローテーション”として、3日目は好きなものを定食の形で食べる。こうすると、全部を毎日作ろうと頑張らなくても、1週間の中に痩せ栄養素が自然と散らばります。
さらに、食卓に並べたときに「たんぱく質のおかずはある?」「緑か赤の野菜はある?」「汁物か副菜はある?」と3つだけ確認する“お盆チェック”もおすすめです。献立表を作るより、ずっと気楽に続けられますよ。
運動と組み合わせると60代のダイエットはもっと安心
食事で筋肉の材料をとったら、軽い運動で「使う」ことで代謝を守る効果が高まると考えられます。
フランスベッドのコラムでは、高齢者でも始めやすい運動としてウォーキングが紹介されていました。目安は週3回・30分。慣れてきたら、早歩き3分とゆっくり歩きを交互に行う「インターバル速歩」もよいそうです。
太ももやお尻の筋肉を使うスクワットも、歩く力を保つのに役立つとされています。最初は手すりや椅子の背もたれにつかまって、痛みのない範囲で行いましょう。
ストレッチで体の柔軟性を高めておくと、運動中のけがの予防にもつながります。持病がある方や痛みがある方は、始める前にかかりつけ医に相談してくださいね。
筆者の考察:60代ダイエットレシピは「引き算」から「足し算」の時代へ
ここからは、シニアの運動サポートに長く関わってきた私の私見です。
私たちの世代は、若いころに「りんごだけ」「ゆで卵だけ」といった“○○だけダイエット”が流行った時代を過ごしてきましたよね。ダイエット=食べるものを減らす「引き算」の発想が、体に染みついている方も多いと思います。
前田さんの方法が示しているのは、その真逆の「足し算」のダイエットです。たんぱく質を足し、カルシウムを足し、鉄やビタミンを足す。その結果として、余計なものが入る隙間が減っていく。
個人的には、これは60代以降のダイエットの“新しい常識”になっていくと考えています。サルコペニア肥満のように、痩せることそのものより「どう痩せるか」が健康を左右する時期だからです。
もうひとつ評価したいのが、6つのレシピの多くに電子レンジ調理が取り入れられている点です。
夫婦ふたりやひとり暮らしになると、「自分のためだけに火を使って何品も作るのは面倒」と感じる方が本当に多いんです。レンジ調理は、その面倒くささというハードルを一段下げてくれます。
一方で、注意したい点もあります。前田さんの「半年でマイナス20kg」はあくまで前田さんご自身の結果で、同じペースで誰もが痩せられるわけではありません。
健康状態や持病、もともとの体重によって、ちょうどいいペースは人それぞれです。数字を追いかけすぎず、「疲れにくくなった」「階段が楽になった」といった体の声も成果として大切にしてほしいと思います。
今後は、こうした“作りやすく、たんぱく質をしっかりとれる”シニア向けレシピが、雑誌や料理教室でますます増えていくのではないでしょうか。私たちにとっては、選べる道具が増えるうれしい流れです。
まとめ:60代のダイエットレシピは「定食の形」と「痩せ栄養素」で選ぼう
管理栄養士の前田量子さんは、食事を変えるだけで半年マイナス20kgを達成し、その方法を「前田式ダイエット」として紹介しました。
ポイントは、たんぱく質・カルシウム・ビタミンA・C・E・鉄・オメガ脂肪酸の5つの痩せ栄養素を、定食スタイルでそろえること。
ほうれん草オムレツ、レンチンチンジャオロースー、鮭のパン粉焼き、納豆+温玉、ささみのカレーあん、オクラとめかぶの爆弾丼の6レシピは、2日分のローテーションとしても活用できます。
食べないダイエットではなく、よく噛んで3食しっかり食べ、軽い運動と睡眠で支える。年齢を言い訳にせず、今日のごはんから一緒に始めてみましょう!
よくある質問
60代のダイエットで食事を抜いてもいいですか?
おすすめできません。食事を抜くと脂肪だけでなく筋肉も落ちやすく、代謝の低下やリバウンドにつながると指摘されています。1日3食、栄養をそろえて食べることが基本です。
60代女性はたんぱく質をどのくらいとればいいですか?
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとにした目安では、成人女性は体重1kgあたり1.0g程度です。体重50kgなら約50gを、肉・魚・卵・大豆・乳製品から毎食少しずつとるのがおすすめです。
ダイエット中に間食をしても大丈夫ですか?
前田量子さんは、上手に選べば間食は栄養価の高い「補食」になり、ストレス発散にもなると話しています。ヨーグルトやナッツ、果物など栄養のあるものを、1日200kcal程度を目安に楽しみましょう。
シニアフィットネス・ライター 高橋陽子

